今回紹介する漫画は、「コブラ」で有名な寺沢武一先生の作品。
その名も「ゴクウ」。
- 作者名を見なくても分かるアメコミ風の作画
- ハリウッドばりのセリフ回し
- 男なら憧れるキャラ設定
- 適度なエロス
今回は、こんな寺沢色満載のSFハードボイルドアクション漫画「ゴクウ」のおすすめポイントを紹介していきます。
子供のころ、本気で「サイコガン」が欲しかったあなた。
きっと「神の瞳」も欲しくなりますよ。
ゴクウの作品データ
【作品概要】
左目に「神の瞳(かみのめ)」を持つ男、私立探偵・風林寺悟空(通称:ゴクウ)。
その活躍を描いた「近未来ハードボイルド漫画」です。
神の瞳と如意棒をもつタフガイ・ゴクウがさまざまな難事件に挑みます。
【作品データ】
作品名 | ゴクウ(MIDNIGHT EYE ゴクウ) |
作者 | 寺沢武一 |
連載誌 | コミックバーガー(スコラ社) |
連載期間 | 1987年(昭和62年)~1992年(平成4年) |
単行本 | 全4巻(MF文庫版は全3巻) |
電子書籍 | あり |
ゴクウのおすすめポイント①(主人公・ゴクウ)
本作「ゴクウ」は、主人公の私立探偵・風林寺悟空(ふうりんじ ごくう、以下「ゴクウ」)が、様々な事件や強敵に立ち向かうハードボイルドアクション漫画です。
舞台は近未来の東京(作中では2014年)。
元警察官であったゴクウは、過去の同僚たちが次々と自殺する怪事件の調査に乗り出します。
調査を進めるうち、自殺の原因が「強制催眠」であることを突き止めるゴクウ。
しかし彼自身も、この強制催眠にかかってしまい窮地に追い込まれてしまいます。
このままでは自分の命が危ないと悟ったゴクウは、とっさの判断で自分の左目を潰し、その激痛によって強制催眠から脱出。
(©寺沢武一/ゴクウ)
気を失っていたゴクウが目を覚ますと、潰したはずの左目に「新しい目」が宿っていた…。
と、こんな具合にストーリーは進んでいきます。
ただし全編を通して1つのストーリーで構成されているわけではありません。
上記「新しい目」を手に入れるエピソードが含まれるのは「洋子編」。
そこから、「良子編」・「レイラ編」・「ゆう子編」を経て、「天空魔棲編」・「妖女カサンドラ編」という6つのストーリー構成で完結します。
神の瞳について
ゴクウが新たに手に入れた左目(義眼)には、「神の瞳(かみのめ)」と呼ばれる力が宿っていました。
これは本作の大きなポイントのひとつで、コブラにおけるサイコガンのようなもの。
この神の瞳は、恐るべき力を備えた義眼だったのです。
【神の瞳】
ゴクウの左目に埋め込まれた義眼の正体は、「超高性能コンピューターの超小型端末」。
ゴクウの意思によって、ネットワークに繋がっている世界中のコンピューターというコンピューターを意のままに操ることができます。
どんなネットワーク環境であってもクラッキングすることが可能。
かつ、それらの機器を自在に操ることも可能な、まさに「神の瞳」と呼ぶにふさわしい能力を備えているのです。
さらに、この神の瞳の能力はクラッキングだけではありません。
赤外線・可視光線・紫外線・X線などを感知したり、物体の内部を透視することもできちゃいます。
現代社会であれば、本当に「神」になれるくらいの力を備えた義眼。
使い方によっては神ではなく悪魔にも?
いずれにしろ、どっちでもなれるでしょうね~。
この漫画が描かれたのは、1987年(昭和62年)。
この頃から30年後の未来を予想してこの作品を描かれたのだとしたら、「寺沢先生おそるべし!」。
わたしなんか、自分の30年後なんて考えもしませんでしたよ…。
如意棒について
悟空と言えば如意棒。
ということで、ゴクウが神の瞳とともに手に入れたもう一つの能力(武器)が「如意棒」です。
冒頭で紹介したコミックスの表紙で、ゴクウが持っている棒⤵ですね。
この如意棒は神の瞳とリンクしており、ゴクウの意思によって伸縮自在の武器になります。(衝撃波を出すことも可能)
ですから、某悟空のように「伸びろ!如意棒!」とかは言いません。
もし言ったら、それはそれで面白いですけど…ネ。
主人公・ゴクウについて
最後は主人公のゴクウについて。
ゴクウは、ハードボイルドを地で行く正真正銘のナイスガイ。
クールでウィットに飛んだジョークや言い回しが特長で、コブラにも通じるものがあります。
※ これは寺沢作品全般に共通する特長。
(©寺沢武一/ゴクウ)
また、神の瞳と如意棒というチート能力を手に入れているため「もう無敵でしょ?」と思うかもしれませんが。
本作の舞台は近未来。
いま我々が生きている現代社会よりも科学技術が進んでいる設定となっています。
そのため、敵さんもそこそこの兵器・武器や常人離れした力を持ってまして。
ゴクウが完全に無双・無敵状態というわけでもないんです。
ただし本作のアクションは、近未来のバトルにありがちな兵器 VS 兵器一辺倒の戦いではありません。
肉体を駆使した人間 VS 人間の戦いも多く描かれており、そこがリアルさを感じさせてくれる魅力でもあります。
ゴクウのおすすめポイント②(寺沢ワールド)
本作「ゴクウ」の魅力は、上で述べた主人公・ゴクウとともに「寺沢ワールド」満載の作風にあると思っています。
それを一言で表すなら、アメリカのハードボイルド作品を思わせる作風。
寺沢先生独特の世界観ですね~。
なので「好き・嫌い」がはっきり分かれるタイプの漫画家さんでしょうネ。
わたしは「レイモンド・チャンドラー」や「ダシール・ハメット」などの海外ハードボイルド小説が好きなので、寺沢作品の世界観もスッと受け入れられます。
※ 加えてSFも好き。
ですから、ハードボイルドやSF、アメコミなんかが好きな人にはおすすめしたい漫画家さんでもあります。
また、ゴクウはアニメ化もされていますが、個人的にはハリウッドでSFアクション映画として実写化するのにピッタリの作品だと思っています。
一部では実写映画化の話もあったようですが未だに実現していないため、この点はハリウッドの皆さんに頑張ってもらいたいところです。
ちなみに寺沢先生は実写化に否定的だったそう。
まぁ、わたしがここで書いたことを実感してもらうには実際に読んでもらうのがイチバン。
もし本作「ゴクウ」に興味を持たれた方は、電子書籍通販サイト「ebookjapan(イーブックジャパン)」でチェックしてみてください。
わたしもふだん利用しているサイトなので、安心・快適に使えますよ。
ebookjapanについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
よろしければ、あわせて参考にしてくださいね。

では最後に。
本作最大の謎とも言える「ゴクウはどうやって神の瞳を手に入れたのか?」について言及しておきます。
ゴクウが自ら左目を潰した後は、運転していた車ごと海にまっさかさま。
気が付くと手術台のようなものに載せられており、そこで謎の声を聴きます。
(©寺沢武一/ゴクウ)
この謎の声の主が、ゴクウに神の瞳を与えた存在。
その正体は…。
「不明」。
作中で正体は明かされず謎のままなんです。
ゴクウに神の瞳を与えたのは誰なのか?は、結局「謎の存在」のまま完結。
コレ、ちょっとズルイと思いませんか?
きちんと正体を明かして終わってほしかったというのが正直なところ。
でも!
「謎の存在」が何なのか?(誰なのか?)を解くヒントは、さりげなく作中に隠されているんです。
それは、先ほどの「謎の声」を聴いたゴクウが現実世界に戻るシーン。
ゴクウが目覚めると公園のベンチに横たわっていました。
そして、顔の上には「新聞」が。
(©寺沢武一/ゴクウ)
その新聞の日付をご覧ください。
「2035年」となっていますよね。
前のほうで述べましたが、この漫画の舞台は「2014年」です。
2014年に2035年の新聞が発行されているはずはありません。
だからゴクウは、「未来の世界」で何者かに神の瞳を授けられたのではないか?
と、想像できてしまうのです。
ま、本当のところは寺沢先生に聞かないと分かりませんけどね。
…。
……。
………。
でもやっぱり。
謎のままで終わらせるのは卑怯ですよ~!
寺沢先生!!
ということで、発表から30年以上経った今からでもイイです。
ぜひ続編を描いてください!!