今回紹介する「忍空 〜SECOND STAGE 干支忍編〜」は、未完に終わった前作「NINKU -忍空-」の続編となります。
前作の連載終了から10年の構想期間及び充電期間がありましたので、それに相応しいだけの大作に仕上がっていますよ。
今回の記事では、そんな本作のおすすめポイントを「ストーリー」と「干支忍」に絞って紹介していきます。
ぜひ最後までお付き合いください。
なお、前作「NINKU -忍空-」については下の記事で紹介しています。
前作の記事で紹介した部分は改めて説明しませんので、できれば前作の記事を先にお読みいただけると助かります♪

忍空 〜SECOND STAGE 干支忍編〜の作品データ
【作品概要】
時は戦国・MUROMACHI時代。
混迷を極める戦局に兵も民も疲弊しきっていたその時代に終止符を打つため、忍空たちが立ち上がる。
風助たち干支忍は、師である麗朱(れいしゅ)からの指令を受け、集結場所である「虹を翔る銀嶺」を目指すことに。
しかし、戦国の世を治めようと目論んでいたのは、忍空たちだけではなかった…。
【作品データ】
作品名 | 忍空 〜SECOND STAGE 干支忍編〜 |
作者 | 桐山光侍 |
連載誌 | ウルトラジャンプ(集英社) |
連載期間 | 2005年(平成17年)~2011年(平成23年) |
単行本 | 全12巻 |
電子書籍 | あり |
忍空 〜SECOND STAGE 干支忍編〜のおすすめポイント①(ストーリー)
それでは、本作「忍空 〜SECOND STAGE 干支忍編〜」のストーリーから紹介してきます。
満を持して連載を開始しただけあって、ストーリーは複雑かつ面白いものに仕上がっていますよ。
戦乱の世に終止符を打つべく、全ての忍空使いの師匠である麗朱から干支忍たちに召集令が発せられます。
風助・橙次・藍朓の干支忍3人組も師からの招集に応じ、「虹を翔る銀嶺」を目指して旅をしていました。
ところが。
実は師匠からの招集場所である「虹を翔る銀嶺」がどこなのか、干支忍たちは知らされていません。
そのため、風助たちは旅をしながらその場所を探している、という何とものんびりした招集になっています。
さらに風助たち以外の干支忍はそれぞれ好きな場所で好きなように暮らしているため、誰がどこにいるかも分からず、正体も不明な干支忍が多いのです。
※ 干支忍12人は、全員が顔見知りというわけではありません。
前作「NINKU -忍空-」では7人の干支忍が登場しましたが、本作では残りの5人も登場。
そして、それら5人は全て風助が旅の途中で出会うことになり、正体が明らかになった干支忍全員が虹を翔る銀嶺を目指す。
というワクワクもののストーリーとなっています。
このように、本作のストーリーは「干支忍12人が虹を翔る銀嶺を目指す」という部分を軸に進行。
それにプラスして初登場の5人の干支忍に関するエピソードを交えて描かれたのが、本作「忍空 〜SECOND STAGE 干支忍編〜」と言ってイイでしょう。
でもこれだけではバトル漫画として成立しませんよね。
なので、干支忍たちを狙う強大な敵も登場してきます。
風助たち干支忍が招集されたのと時を同じくして、この戦国時代を終わらせようと目論む集団がいました。
それが、恍然宗(こうさしゅう)という宗教団体です。
忍空が平和な世の中を取り戻すために戦争を終わらせようとするのに対して、恍然宗は「天下統一」を成し遂げて戦争を終結させようと考えています。
そのために最も脅威となる忍空使い(干支忍)を全員抹殺しようと企むのです。
干支忍ひとりで一個師団(1万人程度)に匹敵するほどの力を持つと言われており、もし12人が一堂に会してしまったら、彼らにとってとてつもない脅威となります。
ですから、全員が集結する前に抹殺しようと画策するのですね。
この恍然宗が放つ刺客(坊さん)たちも、奇怪な術を使う相当な強敵として描かれています。
虹を翔る銀嶺へ向かう道中で、次々と襲い掛かってくる恍然宗の刺客たち。
風助たち干支忍は、それらの刺客と戦いながら旅を続けることに。
そして麗朱が干支忍全員を集めた「真の目的」が明らかになり、「忍空 VS 恍然宗」の戦いは最終局面を迎えるのでした。
本作のストーリーは、第1巻(正確には、前作の第7巻)から最終巻まで一貫しており、敵・味方双方の思惑や舞台裏まで描かれる複雑な内容となっています。
それだけによく練られた面白いストーリー展開。
これは本作の大きなおすすめポイントと言えるでしょうネ。
それに加えてもうひとつのおすすめポイントは、やはり、やっと全員揃った12人の個性的な干支忍たちです。
忍空 〜SECOND STAGE 干支忍編〜のおすすめポイント②(干支忍)ネタバレあり
前作が終了した段階では、干支忍の正体は次のようになっていました。
(©桐山光侍/忍空 〜SECOND STAGE 干支忍編〜 第1巻)
本作では、前述したとおり全ての干支忍が登場します。
そこでここでは、それぞれの干支忍の特長などについてネタバレありで紹介していきます。
※ 干支の並び順(子~)に紹介。
風助(ふうすけ)【別名:風の風助】
本作の主人公である子忍(ねにん)の干支忍。
風の力を借りて戦います。
幼いころ戦争によって両親を失ったことから、誰よりも平和を愛し人々の幸せを望む心優しき少年。
そのため本来は争いを好まないのですが、大切なもの(人)を守るための力として「忍空」を身に付けることになります。
※ このエピソードは、前作に収録。(第7巻~第8巻)
また、作中でハッキリと描かれているわけではありませんが、干支忍中「最強」だと思われます。
でもですね。
わたし自身は、この風助のキャラ絵は「もうひとつ」でした。
林慶(りんけい)【別名:鉱(あらかね)の林慶】
丑忍(うしにん)の干支忍である林慶は、本作の第4巻で初登場。
身体を硬質化する能力を持っています。
実は、このあと紹介する干支忍・卯忍の山吹(やまぶき)のお父さんで、とてつもない親バカです。
また能力とは関係なく怪力の持ち主でもあります。
火瑠(かる)【別名:精霊の火瑠】
12人の干支忍の中で最後に登場するのが、寅忍(とらにん)の干支忍・火瑠。
コミックスの第8巻で登場する彼は、物体に宿る精霊の力を借りて戦います。(実際には第7巻から登場しますが、正体が判明するのが第8巻)
わけあって敵方である恍然宗に属している彼は、およそ宗教団体らしからぬ過激なやり方を推し進める教団に不信感を持ち、干支忍として戦う決意をするのでした。
風助とはまた違った、爬虫類系の顔を持つ少年(年齢不詳)です。
山吹(やまぶき)【別名:光の山吹】
丑忍の干支忍・林慶の娘である山吹は、当初は普通の女の子として登場します。(年齢的には風助と同じくらい)
風助と出会ったのち一緒に旅をすることになるのですが、その道中で「光の龍」を見て卯忍(うにん)の干支忍として覚醒することになります。(コミックス第7巻)
ちなみに、この漫画では忍空の流派ごとに象徴となる「龍」が存在します。
そしてその龍を見ることができれば、どんな奴でも「干支忍確定」。
ただし山吹は忍空としての訓練・修行を受けていないため、戦闘では全く活躍しません。
その代わり、遠く離れた場所の様子が視れたり、ちょっと先の未来が分かったりという「透視・予知能力」で風助をサポートします。
赤雷(せきらい)【別名:炎の赤雷】
辰忍(たつにん)の干支忍である赤雷は、前作から登場。(炎の力を借りて戦います)
ただ、本作の時点ではまだ干支忍ではなく一介の忍空使いに過ぎません。
忍空の修行も受けており、かなりの使い手でもある赤雷。
でもなぜか「炎の龍」を見ることができないのです。
この辺は、上の山吹ちゃんとの対比でちょっと可哀そうな気もします…。
実は炎の龍を見ることができる干支忍は、別に存在していまして。
その干支忍が中盤以降のストーリーに大きく関わってくるのでした。
橙次(とうじ)【別名:大地の橙次】
風助の親友の1人である巳忍(みにん)の干支忍・橙次も、前作から引き続き登場します。
ですが、本作は基本的に初登場の干支忍が中心となって描かれているため、活躍の場面はそれほどありません。(と言うより、ほぼありません)
大地(土)の力を借りて戦う橙次の活躍は、ぜひ前作でお楽しみください。
黄純(きすみ)【別名:氷の黄純】
午忍(うまにん)の干支忍である黄純も前作から登場しますが、この黄純に至っては本作でもミニエピソードが描かれています。
何でも前作で結構な人気キャラクターだったらしく、じゃあ本作でも活躍させようってことでのミニエピソードらしいです。
そのためか活躍シーンは結構多いですね~。(黄純は氷の力を借りて戦います)
ちなみに下図は前作の黄純ですが、本作では髪型が全く変わっていて誰だか分かりません。
緑里(みどり)【別名:植物の緑里】
植物の力を借りて戦う緑里(女性)は、未忍(ひつじにん)の干支忍。
その技は回復術や補助系のものが多く、実際の戦闘においては後方支援として活躍するものと推測されます。(実際、回復術はかなり得意な様子)
彼女が初登場する第2巻では、この漫画の数少ない恋愛エピソードが描かれますが…。
それを断ち切って、彼女は虹を翔る銀嶺を目指すのでした。
青馬(せいま)【別名:雷鳴の青馬】
記念すべき本作の第1巻で初登場する干支忍が、申忍(さるにん)の青馬です。
橙次たちとはぐれてしまった風助が最初に出会う干支忍なのですが…。
風助も青馬もお互いが忍空使い、しかも干支忍だとは気づいていません。
戦で親を失った子供たちの面倒を見ながら、川や自然を守っている心優しき青馬くん。
第2巻の冒頭で雷の力を扱える干支忍であることが判明します。
が、その後は第10巻まで一切登場しません。
藍朓(あいちょう)【別名:空の藍朓】
4つ前に出てきた巳忍の橙次同様、風助の親友である酉忍(とりにん)の干支忍・藍朓。
前作から思っていたんですけど、この藍朓の「驚異的な脚力を活かした空中殺法」って他の干支忍に比べて特殊なんですよね。
別に自然の力とか借りてないし…。
要はONE PIECEの「ベラミー」みたいなモンでしょ?
だから、わたし的には干支忍の中でコイツが一番弱いんじゃないか?っていう気がしてて…。
まぁ本作ではほとんど活躍の場がありませんので、結局強いのか・弱いのかは分からず終いなのです。
紫雨(しぐれ)【別名:野生の紫雨】
前作から登場し、野生動物を使って諜報任務を行う戌忍(いぬにん)の干支忍。
諜報活動を専門に行っているため人前では一切姿を見せず、動物たちの力を借りてスパイ活動や伝達作業を行います。
麗朱からの指令も、この紫雨からの伝達(手紙)によって各干支忍に伝えられるようになっています。
なお、前作から登場しているにもかかわらずその素顔は謎のまま。
本作でも最後まで素顔は明かされませんでした。
黒楼(こくろう)【別名:海の黒楼】
前作の終盤で、風助に忍空になるきっかけを与えた干支忍です。
水の力を借りて戦う亥忍(いにん)で忍空としてはベテランだと思われますが、病魔に侵されています。
本作では第11巻でやっと登場。
個人的には、かなり好きなキャラクターです。
こうして12人の干支忍が勢ぞろいし、ようやく忍空としての形が定まったうえで、本作は完結へ向けて驀進。
正直、全12巻で完結させてしまったことには、ちょっと物足りなさを感じる部分もあります。
でも1つの漫画として完結したことは、ファンとして素直に喜びたいところですね。
ちなみに、本作が終了して10年ほど経ちますがこの続編が描かれる気配はありません。
最終巻のあとがきで作者の桐山先生のコメントがあり、今後の忍空の展開に含みを持たせたような言い方をしているのですが。
わたし自身は「もう、忍空が描かれることはないな…」と感じました。
もちろん、続編が描かれれば大変喜ばしい限りですが、現在では「前作 + 本作」で忍空と言う漫画は完結されています。
紆余曲折があったとはいえ、前作の斬新なアイデアと設定で少年たちの心をつかみ、本作の重厚なストーリーと個性的なキャラクターで読者を魅了してくれた桐山先生には「お疲れさまでした」と、今さらながらお伝えしたい気持ちです。
これを機に、多くの漫画ファンの皆さんに「忍空」という作品を楽しんでいただけたら幸いです。
さて、そんな本作「忍空 〜SECOND STAGE 干支忍編〜」は電子書籍化されています。
わたしがふだん利用している電子書籍通販サイト「ebookjapan(イーブックジャパン)」で試し読みが可能。
「忍空 〜SECOND STAGE 干支忍編〜」に興味を持たれた方は、下の公式サイトを覗いてみてください。
また、ebookjapan(イーブックジャパン)についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
よろしければ、あわせて参考にしてくださいね。
