今回は、「聖闘士星矢」で一世を風靡した車田正美先生の出世作「リングにかけろ」を紹介します。
わたしが小学生のころ大好きだった漫画の1つでして。
リアルタイムでは読んでいませんが、コミックスは全巻持っています。
この漫画がきっかけで、車田先生のファンになりましたね~。
今回の記事では、この「リングにかけろ」のおすすめポイントをご紹介。
わたしの拙い文章で、週刊少年ジャンプ史に残る名作の良さを少しでもお伝えできれば幸いです。
リングにかけろの作品データ
【作品概要】
プロボクサーだった亡き父の遺志を継ぎ、世界チャンピオンを目指す姉弟の物語。
週刊少年ジャンプ史にその名を残す、「ボクシング型バトル漫画」です。
【作品データ】
作品名 | リングにかけろ |
作者 | 車田正美 |
連載誌 | 週刊少年ジャンプ(集英社) |
連載期間 | 1977年(昭和52年)~1981年(昭和56年) |
単行本 | 全25巻(デラックス版は全18巻) |
電子書籍 | あり |
なお、車田先生が本作の次に連載した「風魔の小次郎」については、下の記事で取り上げています。
あわせてお読みいただけると嬉しいです。

リングにかけろの概要
実はわたし、こう見えて(どう見えて?)大の「ボクシング漫画好き」みたいです。
わたし自身はボクシングの経験なんてないんですけど…。
よくよく振り返ってみると「好きな漫画」の中に「ボクシング漫画(ボクシングを題材にした漫画)」が結構多いんですよ。
ま、確かにスポーツは好きですが、特にボクシングが大好きってわけでもないので…。
自分でもなぜかは分からないんですけどね…。
おそらく純粋なスポーツとしての男と男の闘い、しかも1対1の闘いが好きなんでしょう、たぶん。
というわけで、本作「リングにかけろ」です。
一般的に「ボクシング漫画の名作」として認識されている本作の内容は、次のように区分けすることができます。
- 前半は「本格ボクシング漫画」
- 中盤以降は「本格バトル漫画」
もうちょっと具体的に言うと、こんな感じ。
- 前半部分
- 理にかなった本格的なボクシングをしている
- 中盤以降
- 非現実的な必殺技を使ったバトルをしている
ボクシングも「バトル」なのでどちらも同じようなものなのですが、中盤以降は「ボクシング形式のバトル漫画」になるんですね~。
それを本作の大まかなストーリー構成とあわせて紹介すると、下のようになります。
【リングにかけろのストーリー構成】
- 上京編
- 都大会編
- チャンピオンカーニバル(全国大会)編
- 日米決戦編
- 影道(シャドウ)編
- 世界大会編
- ギリシア十二神編
- 阿修羅編
- 世界タイトルマッチ編
上記9つのストーリーのうち、1.~3.までが「ボクシング編」、4.~8.までが「バトル編」として区分できます。
※ 最後の9.は、愛と感動の物語です。
かなり早い段階で本格ボクシング漫画 ⇒ 本格バトル漫画へと路線変更しているのが判ると思います。
そして、この路線変更が本作品の大ヒットにつながったとも言えるのです。
正直なところ、上記3.の「チャンピオンカーニバル編」からボクシング漫画としては、雲行きが怪しくなっていきます…。
ですから、トータル的に見るとリングにかけろは「ボクシング漫画」ではありません。
ボクシングを題材にしたバトル漫画です。
先ほども触れたとおり、一般的に「ボクシング漫画」として紹介されることが多い本作ですが、それは「ちゃんとこの漫画を読んだことのない」人の意見。
ただ、わたし的にはボクシング編もバトル編も両方好きなので、ここからは「ボクシング編」と「バトル編」に分けて、それぞれのおすすめポイントを紹介していきたいと思います。
リングにかけろのおすすめポイント①(ボクシング編)
では早速、ボクシング編のおすすめポイントから紹介します。
本作の主人公は、高嶺竜児(たかね りゅうじ)。
父親(故人)が元プロボクサーなのですが、竜児くんは気が弱く泣き虫で優しい少年です。
(©車田正美/リングにかけろ)
この少年が、母の再婚相手である義父からの虐待に耐えきれず、姉とともに家を飛び出して上京する場面から物語はスタートします。
連載初期のころの竜児くんは、見るからに気弱そうな少年でボクシングなんかできそうにない男の子として描かれています。
一方、竜児の姉である高嶺菊(たかね きく)は、主人公とは対照的に男勝りで気の強い女の子。
(©車田正美/リングにかけろ)
亡き父から譲り受けた抜群のボクシングセンスを持っており、竜児にボクシングを教えるコーチ役でもあります。
この「菊ねえちゃん」が本作のヒロイン。
物語の最初から最後まで、重要な役割を担います。
序盤のボクシング編は、この2人を中心に竜児がボクサーとしての才能を徐々に開花させていく様子が描かれます。
そしてこの序盤には、本作の準主役とも言うべきキャラクターも登場。
それが、剣崎順(けんざき じゅん)。
(©車田正美/リングにかけろ)
竜児の永遠のライバルとなる剣崎は、ボクシングの天才です。
加えて剣崎財閥の御曹司で、カッコつけのスカし野郎。
でもわたしは、このスカした天才野郎が一番好きなキャラだったりします…。
実家を飛び出して上京した竜児と菊は、紆余曲折を経て聖華学院に転入しボクシング部に入部。
そこで剣崎と出会い、竜児はボクシングの才能に目覚めることに。
その後、都大会から全国大会(チャンピオンカーニバル)まで、竜児 VS ライバルたちの戦いが描かれます。
ここまでが、リングにかけろの「ボクシング編」ですね。
全国大会(チャンピオンカーニバル)の戦いも面白いんですけど、「ボクシング編」最大の見どころは都大会での「竜児 VS 剣崎」。
永遠のライバルになる二人の最初の戦いは、感動すら覚えますよ~。
(©車田正美/リングにかけろ)
そんなリングにかけろも、連載初期の頃はギャグやお色気シーンが多く、学園ギャグマンガっぽい部分もあったんです。
ただし、ボクシングに関する部分は本格派でした。
特に菊ねえちゃんのボクシングレクチャー⤵は、本格ボクシング漫画らしいシーンと言えるでしょう。
(©車田正美/リングにかけろ)
まさに「あしたのために(その1)」って感じで、「あしたのジョー」みたいでしたね~。
※ この後の「バトル編」にこういった⤴シーンはありません。
ちなみに、菊ねえちゃんは「~っちゃ」とラムちゃんみたいな喋り方をしますよ♪
ということで、リングにかけろ「ボクシング編」のおすすめポイントをツラツラっと書いてきました。
まとめると、ボクシング編の最大の見どころは、菊ねえちゃんの教え&ライバルたちとの戦いにより、竜児がどのようにボクサーとして成長していくのか?という点にあります。
ここに注目して、本作の前半部分を楽しんでみてください。
リングにかけろのおすすめポイント②(バトル編)
さて続いては、リングにかけろ最大の魅力とも言えるバトル編について紹介します。
前述したとおり、中盤以降は「非現実的なボクシング形式のバトル漫画」という構図になる本作。
そのおすすめポイントは2つあります。
1つは、ほとんどの戦いが「団体戦」であること。
【リングにかけろのストーリー構成】に掲載した4.日米決戦編以後は、ほとんどの戦いが竜児 + 仲間たちで戦う団体戦で行われるんですね。
この「仲間とともに戦う」という点が、まさしく週刊少年ジャンプ!
バトル編を「仲間と一緒に戦う団体戦」としたのは、世の少年たちの心をがっちりつかむには十分な設定でした。
ジャンプと言えば「友情・努力・勝利」。
これは今も昔も人気バトル漫画の鉄則ですからね。
それでは、竜児と一緒に多くのライバルと戦う仲間たちを紹介します。
リングにかけろ(バトル編)の仲間たち
バトル編は、ボクシングの全国大会(チャンピオンカーニバル)が終わった後から始まります。
チャンピオンカーニバルに出場した選手から5人が選抜され「ボクシングの日本Jr.チーム」を結成し、世界各国のライバルたちと戦う姿が描かれます。
ここでは、その5人の日本ジュニアを紹介しますね。
高嶺 竜児
主人公の竜児くんは、当然日本Jr.チームの一員となります。
この頃には、泣き虫・弱虫だったころの面影はありません。
立派になってくれて嬉しい限りです。
(©車田正美/リングにかけろ)
剣崎 順
竜児のライバル・剣崎も日本Jr.チームの仲間としてともに戦います。
ちょっとネタバレになっちゃうので詳しい説明は省きますが、剣崎はチャンピオンカーニバルに出場していません。
でも強いので、日本Jr.として選出されます。
(©車田正美/リングにかけろ)
香取 石松(かとり いしまつ)
千葉出身、血気盛んなケンカ番長。
チャンピオンカーニバルの出場選手として登場します。
日本Jr.チームの斬り込み隊長として、主に先鋒を担うことが多い小柄な少年。
菊ねえちゃんに惚れていますが…。
(©車田正美/リングにかけろ)
河井 武士(かわい たけし)
新潟出身で、ピアニストでもある天才ボクサー。
チャンピオンカーニバルで竜児と対戦します。
当初、美形ながらイヤな奴として描かれていましたが…。
竜児との対戦を経て変わります、彼は。
(©車田正美/リングにかけろ)
志那虎 一城(しなとら かずき)
京都出身のサウスポー。
彼も、チャンピオンカーニバルで竜児と対戦します。
実はサウスポーというよりも、ある事情により右腕が使えないため左腕だけで戦うボクサー。
おっさんに見えますが、少年です。
(©車田正美/リングにかけろ)
この5人が世界一を目指す戦いは、形式こそボクシングの試合として描かれますが、内容は完全に「ボクシングという名の非現実的バトル」です。
さらに、それだけではなく剣崎と深く関わりのある「影道(しゃどう)一族」とのバトルや、河合と関係のある「阿修羅一族」とのバトルなども描かれています。
この影道一族や阿修羅一族との戦いは、一応ボクシングっぽくしてはいるものの、やはり非現実的バトル。
そして、これらのバトルを非現実的にしているのが、2つ目のおすすめポイントである「必殺技」なんです。
リングにかけろ(バトル編)の必殺技&ド派手な演出
この漫画の最大の特長は、それぞれのキャラクターが持つ「必殺技」とその「演出」にあります。
これが、リングにかけろをバトル漫画の名作たらしめている要因と言ってもいいでしょう。
具体的に解説すると、次のようになります。
みな「必殺技(フィニッシュブロー)」を持っている
主人公の竜児であれば、「ブーメランフック」・「ブーメランスクエア」・「ブーメランテリオス」そして「ウイニング・ザ・レインボー」といった必殺技を持っています。
前述した5人の日本Jr.の必殺技を、簡単に紹介するとこうなります。
- 高嶺 竜児
- ブーメランフック(フック)
- ブーメランスクエア(たぶんフック)
- ブーメランテリオス(人知を超えたフック)
- ウイニング・ザ・レインボー(人知を超えたアッパー)
- 剣崎 順
- ギャラクティカ・マグナム(人知を超えた右)
- ギャラクティカ・ファントム(人知を超えた左)
- 香取 石松
- ハリケーンボルト(空中技)
- スパイラルタイフーン(空中技)
- 河井 武士
- ジェットアッパー(アッパー)
- ジェットラベンダー(アッパー)
- 志那虎 一城
- ローリングサンダー(3連打)
- スペシャルローリングサンダー(5連打)
- 円月拳(意味不明)
一応ボクシングを題材にしているので、みなボクシングブローっぽい必殺技ですが…。
石松なんて「空中技」ですからね。
ボクシングで空中技って、もうボクシングじゃないですよね。
おそらく、最も有名なのは剣崎の「ギャラクティカ・マグナム」でしょうか。
「ギャラクティカマグナム」で検索すれば、わんさと画像が見られると思いますので、興味のある方は検索してみてくださいね。
ちなみに、主要な敵キャラも必殺技を持っています。
最後は必殺技で「勝つ!」
ネタバレになっちゃうかもしれませんが、日本Jr.の5人は基本的に負けることはありません。
そしてバトルのパターンとしては、当初優勢(又は劣勢)⇒ 敵の必殺技 ⇒ 劣勢 ⇒ 起死回生 ⇒ 優勢 ⇒ 必殺技(フィニッシュブロー)⇒ 勝利という法則が確立されています。
毎回お決まりのパターンで決着がつくのですが、これがまた爽快かつ分かりやすくてイイ!
「水戸黄門」みたいなものだと思ってください。
※ 意味が分からない人は、お父さんかお母さんに聞いてね。
このパターンは、次に紹介するバトルの演出とともに、後の車田先生の作品に引き継がれています。
バトルの演出が「ド派手!」
本作の必殺技の描写の方法としては、これもパターンが決まっています。
それは見開きページ or 大ゴマによる「ド派手」な演出。
こんな⤵感じです。
(©車田正美/リングにかけろ)
また独特の「擬音」を使う演出も特長的で、信じられないくらいの威力があります。
こんな⤵感じです。
(©車田正美/リングにかけろ)
車田先生の描くバトルは、勧善懲悪のような分かりやすい爽快感があって、パターン化されているにもかかわらず飽きがこないんですよね。
ただ、一見パターン化されたように見えるバトルや演出の中にも、ちょっとしたアイデアやちょっとした変化などを加えて、読者に飽きさせないような工夫がされているのも流石です。
このリングにかけろで確立されたバトルのパターンは、後の大ヒット作「聖闘士星矢」にも受け継がれることになりますよ。
そして、「ボクシング編」と「バトル編」を終えた本作は、クライマックス「世界タイトルマッチ編」へと向かっていきます。
ラストは本当に感動的で、名作にふさわしい最高の終わり方だったと思います。
でもですね。
ラストの感動は、最初から本作を読んでこそ味わえるもので、途中から読んだだけではラストの感動は味わえません。
前半の「ボクシング編」、中盤からの「バトル編」があってこそのラスト。
ですから、もし本作を読むのであれば、ぜひ第1巻から最終巻までイッキにお読みください。
わたしの拙い文章ではここまでの内容が精いっぱいですが、本作の面白さが少しでも皆さまに伝われば幸いです。
そんな「リングにかけろ」は、わたしがふだん利用している電子書籍通販サイト「ebookjapan(イーブックジャパン)」で試し読みができます。
興味を持たれた方は、下の公式サイトで試し読みしてみてくださいね。
また、ebookjapanについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
よろしければ、あわせて参考にしてください。
