こんにちは、PANDRAです。
今回は、独特の世界観と作風を持つ平野耕太先生の代表作「HELLSING(ヘルシング)」を取り上げます。
イイですねぇ、こういうトチ狂った漫画は大好きです。
とにかく戦います、撃ちます、斬ります、殺します。
今回の記事では、この「HELLSING(ヘルシング)」のおすすめポイントをご紹介。
漫画の世界だからこそ表現できるモノ、それを体現した空想のバトルアクションをお楽しみください。
HELLSINGの作品データ
【作品概要】
舞台は20世紀末のイギリス。
対バケモノ専門の特務機関「ヘルシング」の活躍を描くバトルアクション漫画。
ヘルシング機関の長であるインテグラ、新米吸血鬼のセラス、執事のウォルター。
そして、吸血鬼を狩る最強の吸血鬼・アーカード。
吸血鬼・化物・人間入り乱れての「大戦争」が幕を開ける!
【作品データ】
作品名 | HELLSING(ヘルシング) |
作者 | 平野耕太 |
連載誌 | ヤングキングアワーズ(少年画報社) |
連載期間 | 1998年(平成10年)~2009年(平成21年) |
単行本 | 全10巻 |
電子書籍 | あり |
HELLSINGの概要&ストーリー
この漫画のおすすめポイントは、痛快無比&スプラッターホラーなバトルアクションと、それを魅せるキャラクターにあります。
しかし、それらも筋の通ったストーリーがあってこそ。
そこでまずは、本作「HELLSING」の概要やストーリーからなぞっていきたいと思います。
【ストーリー概要】
物語の主な舞台はイギリス。
大英帝国王立国教騎士団、通称「ヘルシング機関」を率いるインテグラ・ヘルシング(女性)は、近年頻発する不可解な吸血鬼事件の対処に追われます。
ヘルシング機関(以下、「ヘルシング」で統一)は、古くから「バケモノ専門の特務機関」としての任務を英国女王より一任されている、対化物戦闘のエキスパート。
そんなヘルシングを支えているのが、唯一絶対の存在である吸血鬼・アーカード(下図・右)でした。
アーカードは、新たに加わった新米吸血鬼のセラス・ヴィクトリア(下図・左)とともに、各地で出没するバケモノ(吸血鬼及びグール)を殺しまくります。
しかし、殺しても殺しても湧き出てくるバケモノども。
流石にヘルシングだけに任せておくこともできず、イギリス国家として対策に当たろうとしていた矢先、ヘルシング本部が謎の組織「ミレニアム」からの襲撃を受け甚大な被害を被る事件が起こります。
ミレニアムの正体は、かつてのナチスの残党。
「少佐」と名乗る人物が黒幕であることを掴んだヘルシングは、英国で頻発するバケモノ事件もミレニアムが裏で糸を引いていたことを知ります。
さらに、少佐の狙いが「アーカードの抹殺(消滅)」であることも…。
実はアーカードと少佐の間には少なからぬ因縁があり、少佐は「最強のバケモノ」であるアーカードを倒すため、時間をかけて組織を編成し機をうかがっていたのです。
かくして、イギリス全土を巻き込む「大戦争」の幕が切って落とされるのでした。
このように、大筋としては「ヘルシング(アーカード)VS ミレニアム(少佐)」の戦いを軸にストーリーが進んで行くのですが…。
なかなかどうして、本編はかなり複雑になっています。
というのも、ヘルシングとミレニアムという組織の他、イギリス軍、ヴァチカンの法王庁なども絡んでくることになり、さらにはそれぞれの「人間ドラマ(バケモノドラマ)」も関わってくるので、登場組織(登場キャラ)の関係性を掴むのが難しいのです。
また、それに追い打ちをかけるような仕組みが本作にはありまして。
登場組織(登場キャラ)に関する細かい説明などが本編中に一切ないんですね。
例えば、作中ではヘルシングが属する王立国教騎士団は、設定上「プロテスタント」というキリスト教の宗派に分類されています。
いっぽうヴァチカンの法王庁は、キリスト教の「カトリック」という宗派に分類され、上記「プロテスタント」と敵対しているという設定になっています。
わたしも宗教のことは詳しく分かりませんが、プロテスタントやカトリックが何なのか?とか、なぜ敵対しているのか?などの説明が、本編中では全く語られていないのです。
ですから、知らない人が読むと「何のこっちゃ?」となってしまう可能性があるのですね。
そういった理由から、よく練られたストーリーではあるものの、本作を読む際には「ふ~ん、そんなもんか」という軽いノリでストーリーを読み進めていくほうが良いでしょう。
もちろん理解できる方は、じっくりと読み進めていただいて構いませんけども。
HELLSINGのおすすめポイント(キャラクター&バトル)
それでは、本作「HELLSING」最大のおすすめポイントであるキャラクター&バトルについて紹介していきます。
この作品には多くの魅力的なキャラクターが登場します。
しかし全員を紹介すると恐ろしい文字数になってしまいますので、ここではわたしのお気に入りのキャラクター3名をピックアップして紹介していきますね。
なお、もうひとりお気に入りのキャラがいるのですが、それは下の記事で紹介しています。
よろしければ、こちらも読んでみてください。

【最強&最凶の吸血鬼】アーカード
本作の主人公のひとりである吸血鬼のアーカードは、年齢500歳前後でヘルシング家の当主・インテグラの従者として仕えています。
ヘルシングの力 = アーカードの力と言っても過言ではなく、彼の存在がなければヘルシングの戦闘力は無に等しいと言っていいでしょう。(後に「後継者」となるべき吸血鬼が現れますが)
吸血鬼でありながら吸血鬼狩りを使命とする「世界最強の無敵の存在」として君臨しているのが、彼、アーカードなのです。
ちなみに、なぜ世界最強の彼がインテグラに仕えているのか?
わたしにはイマイチ理解できませんでした。
戦いの際には白い拳銃と黒い拳銃の2丁を用います。(実際には武器など使わなくてもメチャメチャ強い)
そして、死にません。(ゆえに無敵)
厳密にはある方法により殺すことはできます。
ただし、実行することは限りなく不可能に近いでしょう。
バトル漫画においては、彼のような「絶対的な強者」が描かれることは、ほとんどありません。(敵・味方どちらであっても)
誰も勝てない最強の存在を描いてしまうと、その時点でバトル漫画としての面白みが失われてしまうことが多いからです。
ですから、必ず「頑張れば勝てそう」な存在として描かれたり、「最強より最強」という存在が登場したりするのがお決まりのパターンとなっています。
でもこの漫画には、そういったパターンは存在しません。
最初から最後まで「アーカード無双」のまま突っ走り、その「狂気のごとき圧倒的な強さ」をものの見事に描き出している点が、本作の最大の魅力なのです。
(©平野耕太/HELLSING 第5巻)
「強すぎることが面白い」と言える数少ない漫画の1つが、この「HELLSING」なんですね。
そんな最強・最凶の存在であるアーカードのことを熟知しているミレニアムのボス・少佐は、最終的に彼を「殺す」のではなく「消滅させる」という手段に出るのでした。
果たして、戦いの結末やいかに…?
【愛しの吸血鬼】セラス・ヴィクトリア
続いて紹介するのは、ヘルシングに属する第二の吸血鬼・セラス嬢です。
元々ヘルシングとは何の関係もない人間の女性だったセラスは、本作の第1話でアーカードに血を吸われて吸血鬼と化してしまいます。
そのためアーカードの従者的な立場となり、結果的にヘルシングにも協力することになります。
吸血鬼になった当初はさすがに戸惑いを隠せなかったものの、アーカードに教育され徐々に吸血鬼らしくなっていくセラス。
彼女の武器はハルコンネンと呼ばれる長距離砲銃で、遠方からの敵の殲滅が専門。(接近戦もできますけどね)
ところが。
このセラス嬢には、吸血鬼として致命的な欠点があったのです…。
(©平野耕太/HELLSING 第1巻)
その致命的な欠点により「本当の」吸血鬼にはなり切れないセラス。
この設定は、「いずれセラスは欠点を克服して本当の吸血鬼になるだろう」というフラグ。
さらに、それがストーリーに大きく関わってくるであろうことも想像できます。
でもですね、この娘さん、なっかなかこの欠点を克服しません。
ヘルシングとミレニアムの戦いが佳境に入ってから(つまり物語の終盤で)、やっと克服するのですが…。
まぁ、何とも切ないというか哀しいというか。
そんなエピソードを経て、ようやく本来の吸血鬼として覚醒することになります。
本作を読んだ方で、この「セラスが覚醒するエピソードが好き」という方は多いのではないでしょうか。
それくらいこの作品には珍しい?内容のエピソードで、実はわたしも好きなのです。
かくして本物の吸血鬼となった彼女は、今までのヘタレっぷりが嘘のような活躍ぶりを見せてくれるのでした。
(©平野耕太/HELLSING 第7巻)
【愛すべき傭兵野郎】ピップ・ベルナドット
最後に紹介するのは、正真正銘の人間の傭兵・ピップ・ベルナドット。
【概要&ストーリー】のところで触れた、ミレニアムによるヘルシング本部襲撃事件以後に登場する彼は、ヘルシングが雇った傭兵部隊の隊長です。
本作で活躍する人間は、ヘルシングの長であるインテグラと執事のウォルター、あとヴァチカンの精鋭部隊くらいなのですが、その中で最も好感の持てる人間として描かれています。
作中では軽いノリの軽薄男のように描かれることが多いものの、傭兵としての腕は一流で部下たちからも慕われる人間性を持っています。
傭兵ですから、とうぜん戦いますし人も殺します。
ただ、それを差し引いても「カッコイイ」と思えるだけの魅力を備えた男性なのです。
(©平野耕太/HELLSING 第3巻)
あくまでも脇役の域を出ないキャラクターのベルナドット。
しかし物語の後半で非常に大事な役割を果たすことになります。
そして、その大役を務め上げた彼はさらに男としての株も上げ、最期は…。
以上の3名が、「HELLSING」のおすすめキャラクターなのですが、本作には他にも魅力的なキャラクターが数多く登場します。
- ヘルシングの長であるインテグラ女史(人間)
- その執事のウォルター(人間、後に…)
- ヴァチカンの最高戦力であるアンデルセン神父(人間、最期には…)
- ミレニアムの最高戦力である大尉(人間ではない)
- ミレニアムを率いる少佐(人間ではない)
などなど、多彩なキャラクターたちが戦い、殺し、殺されるのです。
本作「HELLSING」のバトルに、理屈は必要ありません。
陳腐な言い方ですが、そこには善も悪もなく、みな己の信じる「正義」のために戦っている。
撃ち・撃たれ、切り・切られ、貫き・貫かれ、抉り・抉られ。
それでも退くことを知らない彼らの戦いぶりは、美しくさえあります。
その中心にいるのが「アーカード」。
彼は、正義の味方でも悪の使者でもありません。
彼は言います。
「私はどこにもいないし、どこにでもいれる」
「だから、ここにいる」
それがアーカードの、HELLSINGの『全て』なのです。
ということで、平野耕太先生の「HELLSING(ヘルシング)」について、そのおすすめポイントをツラツラっと述べてきました。
このレビューで本作の面白さが伝わればイイのですが、伝わっても・伝わらなくても「HELLSING」という漫画に興味を持ってもらえれば幸いです。
そんな「HELLSING」は、わたしがふだん利用している電子書籍通販サイト「ebookjapan(イーブックジャパン)」で試し読みができます。
興味を持たれた方は、下の公式サイトで試し読みしてみてくださいね。
また、ebookjapanについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
よろしければ、あわせて参考にしてください。
