今回は、上村純子先生の「1+2=パラダイス」を紹介します。
少年エッチ漫画としては、「いけない!ルナ先生」と並ぶ上村先生の代表作ですね~。
どちらの作品を紹介しようか迷ったのですが、連載中に青少年保護育成条例のターゲットにされるという悲しい経緯を持つ本作を取り上げることにしました。
まぁ確かにエッチなシーンは多いですけど…。
実際の性犯罪の要因をエッチ漫画に求めるというのもどうかなぁと…。
だったらインターネットでエロが溢れかえっている今の時代はどうなるんでしょうねぇ。
おそらく世間への「見せしめ」として槍玉に挙げられてしまったのでしょうが、本作が少年エッチ漫画の名作であることに変わりはありません。
今回の記事では、そんな「1+2=パラダイス」のおすすめポイントを紹介していきます。
1+2=パラダイスの作品データ
【作品概要】
女性恐怖症の高校生・山本優介と、双子の姉妹・中村結花&梨花が繰り広げるドタバタラブコメエッチ漫画です。
【作品データ】
作品名 | 1+2=パラダイス |
作者 | 上村純子 |
連載誌 | 月刊少年マガジン(講談社) |
連載期間 | 1988年(昭和63年)~1990年(平成2年) |
単行本 | 全4巻(※) |
電子書籍 | なし(紙版のみ) |
【(※)単行本についての補足】
本作は全5巻のコミックスで構成される漫画ですが、連載後期に勃発した有害コミック騒動の煽りを受け、講談社からは第5巻が発売されていません。
そのため「全4巻で完結」となっています。
それが1995年に松文館から「成年向け」として再版される形となり、幻の第5巻が陽の目をみることになりました。
- 講談社版 … 全4巻(一般コミック)
- 松文館版 … 全5巻(成年コミック)
ただし、体裁が「一般コミック ⇒ 成年コミック」へと変更されただけで、第4巻までの内容はどちらも同じです。
1+2=パラダイスのおすすめポイント①(かわいい双子のお色気大作戦)
それでは「1+2=パラダイス」のおすすめポイントを紹介していきます。
本作のプロローグは、主人公の高校生・山本優介が、幼なじみの双子の姉妹・中村結花(ゆか)&梨花(りか)と一緒に暮らすことになる場面から。
結花ちゃんと梨花ちゃんは、幼いころ野良犬に襲われたところを優介くんに助けられ、それ以来ずっと彼のことを想い続けていたのです。
そんな2人は優介くんに対して、「どちらかを将来のお嫁さんとして選んで欲しい!」と告げるのでした。
こうして優介くんをめぐる双子姉妹のお色気大作戦がスタート。
どちらが色仕掛けで優介くんを落とせるかってことですね。
内容としては基本的に1話完結のエピソードで描かれますが、一部連作のエピソードもあります。
本作のヒロインである結花ちゃんと梨花ちゃんは、一卵性の双子なので見た目もそっくり。
おまけにスリーサイズも一緒です。(上から85㎝・58㎝・87㎝)
ですが、作中では2人の描き分けがきちんとされており、まず外見で見分けがつくように髪型を変えてあります。(妹の梨花ちゃんは常にポニーテール)
※ 下の図の左側がお姉ちゃんの結花ちゃん、右側が妹の梨花ちゃんです。
さらに性格もハッキリと分かれていて、次のようになっています。
- 姉の結花ちゃん
- おしとやかで献身的、そして恥ずかしがり屋さんな女の子
- 妹の梨花ちゃん
- 積極的なやんちゃ娘で、とてもオープンな性格
これは2人の優介くんに対するアプローチにも表れていて、だいたい次のようなパターンでエピソードが進んで行きます。
【①梨花の誘惑開始】
優介くんに裸を見られたり触られたりするのに全く抵抗のない梨花ちゃん。
梨花ちゃんは、いつも結花ちゃんより先に優介くんを誘惑します。
例)コミックス第2巻(プロレス デート)より
梨花:それじゃあ梨花がプロレスの相手になってあげる~。
梨花:その代わり、梨花が勝ったらデートしてね♪
【②結花も負けじと】
消極的で恥ずかしがりやな結花ちゃんは、いつも梨花ちゃんに先を越されてしまいます。
しかし、優介くんを取られたくないという想いから…。
例)コミックス第2巻(プロレス デート)より
結花:優介くんとデート…したい。
結花:あ、あの…、わたしも、プロレスやりたい!
【③先に仕掛ける梨花】
ほぼ毎回、先に色仕掛けに走るのは梨花ちゃん。
積極的かつオープンに優介くんに迫ります。
例)コミックス第2巻(プロレス デート)より
梨花:どうせ結花はプロレスなんて知らないし、運動音痴だから。
梨花:先に優介くんを誘惑しちゃおっと♪
(©上村純子/1+2=パラダイス 第2巻)
【④恥ずかしがりながらも頑張る結花】
そんな梨花ちゃんの姿を見て…。
「わたしも頑張らなきゃ」と恥ずかしさを押し殺して誘惑する結花。
例)コミックス第2巻(プロレス デート)より
結花:優介くんに技をかけて…。
結花:ちゃんと3カウント取らなきゃ…。
(©上村純子/1+2=パラダイス 第2巻)
このような感じでお色気作戦が進行し、最後は「じゃあ3人でデートしよう!」みたいなオチで終わるパターンがほとんど。
ただし、ストーリーが進むにつれて優介くんの気持ちは「結花ちゃん寄り」に傾いていきます。
そして最後は…。
感動的?なフィナーレを迎えることになりますよ。
1+2=パラダイスのおすすめポイント②(上村先生のエッチ描写)
さて、そんな双子のかわいいお色気シーンが見られる本作ですが、正直、上村先生の描くキャラクターにはクセがあります。
特に顔の描写に特長があり、妙な垂れ目で描かれる顔とクリクリっとした瞳で描かれる顔の2種類があるんです。
上村先生が意図して描き分けているのかどうかは知りませんが、キャラクターによる一種のギャップ効果があって、セリフだけでは表せない心理的な部分を表現しているのでしょうね。
例えば下の図。
これは同じページに描かれている結花ちゃんです。
でも、上と下で全く顔の印象が違いますよね。
(©上村純子/1+2=パラダイス 第2巻)
ま、それが上村先生の作風と言えばそれまでなんですけど、こういう「独特なタッチ(特長のある絵柄)」というのも売れる漫画家さんとしては必須のものなんでしょう。
そして、それが読者に受け入れられるかどうか?っていうのも重要なんでしょうね、きっと。
さらに上村先生の描く女性キャラの特長として、下半身、特にお尻と下着(ショーツ)の描き方が抜群にうまい点が挙げられます。
そのため、本作でも女性キャラの下半身のアップがとても多く描かれています。(もちろん、下着や水着などを付けた下半身ですよ)
(©上村純子/1+2=パラダイス 第3巻)
ただ冒頭でも述べたように、本作は有害図書としての迫害を受けてしまいます。
結果、一般コミックスとしては異例のコミックス発売中止に追い込まれてしまった作品。
そのためですかね~、漫画の内容も「第3巻まで」と「第4巻以後」でガラッと変わっちゃうんです。
その最たるものが、第4巻から登場する咲田愛美(さきた あみ)という新お色気キャラクター。
下の図の左が愛美ちゃんで、第4巻以後は愛美ちゃんと梨花ちゃんのエッチシーンがほとんどを占めるようになります。
(©上村純子/1+2=パラダイス 第5巻)
代わりに、結花ちゃんのエッチなシーンはほとんど描かれません。
加えて作画もちょっと荒くなっているように感じられました。
第3巻の最終話と第4巻の第1話との間には、4ヶ月くらいの空白期間があります。
その間に何かあったのかもしれませんね。(詳しいことは知りませんけども)
このように、色々な規制があった中で連載を続けるというのは大変な苦労があったと思います。
それに上村先生の作品は、前作(いけない!ルナ先生)も本作も人気がありましたからよけい大変だったでしょう。
それでも上村先生がご自身の特長を上手く活かして、最後まで描き切ってくれたからこそ(読者に受け入れられて)ヒットになった作品です。
時代に翻弄された感のある名作少年エッチ漫画「1+2=パラダイス」。
ちょっと不遇な漫画とも言えますが、内容自体は明るいお色気ラブコメ。
メランコリックな気分にならずに、是非かわいい双子のエッチな姿を楽しんでみてください。
そんな本作「1+2=パラダイス」は、残念ながら電子書籍化されていません。(そのため、どのサイトでも試し読みをすることができません)
一般の書店でも手に入りにくいコミックスとなっていますので、興味を持たれた方は、こちらの「漫画全巻ドットコム」で販売状況をチェックしてみてくださいね。
※ 投稿日現在では中古で入手可能。(在庫切れのケースもあります)
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なお、漫画全巻ドットコムについては下の記事でも紹介していますので、併せて参考にしてください。
