今回は、黄金期の月刊少年ジャンプで連載されていた「迷作」、イヤ「名作」を紹介します。
「白い戦士ヤマト」とともに月ジャンの看板作品だったと記憶していますが、さすがに1970年代にスタートした漫画だと初期の頃はリアルタイムで読んでいません。
でも7年くらい連載されていた作品ですので、最後の方はリアルタイムで読んでいた記憶があります。
その作品は「ガッツ乱平(らんぺい)」。
今回の記事では、ガッツ乱平のおすすめポイントをご紹介。
この漫画の最大の魅力は、主人公とライバルの「対決」&「成長物語」にあります。
ガッツ乱平の作品データ
【作品概要】
超エリート名門校「マッターホルン学園」を舞台に、主人公の司 乱平(つかさ らんぺい)がハチャメチャ騒動を巻き起こす学園コメディー。
です…が。
実は単なるコメディーではなく、バトルあり・頭脳戦あり・シリアスあり・涙あり・感動ありの「王道学園(コメディー)漫画」となっています。
知力と体力(勉強とケンカ)のバトル要素も強かった作品で、わたしは大好きでした。
【作品データ】
作品名 | ガッツ乱平 |
作者 | 百里あきら |
連載誌 | 月刊少年ジャンプ(集英社) |
連載期間 | 1978年(昭和53年)~1985年(昭和60年) |
単行本 | コミックス:全19巻、セレクション:全11巻 |
電子書籍 | なし(紙版のみ) |
ガッツ乱平のおすすめポイント(主人公とライバル)
それでは、「ガッツ乱平」のおすすめポイントを紹介していきます。
本作は、超名門校のマッターホルン学園に主人公の乱平が転入してくるところからスタート。
※ マッターホルン学園は「小学校」です。
日本中から集まったエリートたちが学ぶマッターホルン学園。
その中でもエリート中のエリートとして学園に君臨するのが、乱平のライバルとなる「九鬼 正平(くき しょうへい)」。
この作品は、乱平と九鬼のライバル対決がストーリーのメインとなっています。
時には勉強で、時にはケンカで、また時にはスポーツで…と。
コメディーでありながら、人気少年漫画に欠かせない「バトル要素」も備えているのが本作品の大きな魅力。
ですから本作のおすすめポイントも、このライバル2名になるのですが…。
読み進めていくと、この漫画は主人公の乱平よりも、むしろライバルである九鬼の成長物語なんじゃないか?
作者の百里先生は、乱平というキャラを通じて九鬼正平という少年の成長を描きたかったんじゃないのか?
そう思わせる内容となっています。
そんなライバル対決を演じる2人がこちらです。
ガッツ乱平のおすすめポイント(主人公・乱平)
本作の主人公で小学校6年生。(上のハゲ頭の少年)
お父さん(医者)がアフリカで仕事をしていたためアフリカ育ち。
そのお父さんが日本に帰国するのに合わせて乱平くんも帰国し、マッターホルン学園に転入します。
こんな風貌をしていますが、実は超天才で、超ケンカが強く、超スポーツ万能のスーパー小学生なんです。
ちなみに、身長100㎝・体重100㎏という「ドラえもん」と同じような設定になっています。
乱平くんの普段の姿は見た目どおりの「アホ」。
なので、乱平くん自体がコメディーの要素ですね。
しかしマジになった時の乱平は超カッコよくて、「アホモード」と「本気モード」のギャップが彼の魅力。
少年漫画にありがちな「能ある鷹は爪を隠す」タイプの主人公です。
※ 上図コミックスの表紙は、本気モードの乱平が気合を入れる時の「ガァァ~ッツ!」のポーズ。
たしか兄と妹がいたはずで、妹ちゃん(名前忘れました)も相当な「化け物」でした。
見た目が化け物って意味じゃないですよ、乱平くんに似てはいますがね。
下図で乱平におんぶされているのが、妹ちゃんです。
ガッツ乱平のおすすめポイント(ライバル・九鬼)
九鬼くんは、主人公・乱平のライバルで同じく小学校6年生。
※ 上図、竹刀を持つイカした髪型の少年
幼い頃から、あらゆる分野の英才教育を施されてきたエリート中のエリート。
頭脳・体力ともに乱平と同等の実力を持ちます。
ちょっと、というよりもだいぶスカした少年で、とても小学生とは思えない性格の持ち主。
マッターホルン学園の「支配者」として君臨していましたが、乱平が転入してきたことによって、その状況が徐々に変わっていきます。
乱平とは「頭脳バトル」・「ケンカバトル」・「スポーツバトル」などで対決し、最期は乱平と九鬼の一騎打ちで終了。
ただしそこは少年漫画ですから、しだいに2人の間に友情らしきものが芽生えてゆき、最終的にアフリカへと旅立った乱平を追って、九鬼も…。
という展開でフィナーレとなります。
マッターホルン学園に君臨する「ドン(首領・ボス)」なので、乱平からは「ドンちゃん」と呼ばれています。
超本気モードになると、戸愚呂(弟)みたいに筋肉がふくれあがりバッキバキの肉体に。
ただ家庭的に恵まれない一面もあって、親に作り出されたサイボーグみたいな可哀相な少年でもあります。
ガッツ乱平のおすすめポイント(九鬼の成長物語)
本作は、上記2人のライバルの対決をメインにストーリーが構成されていて、だいたいなにがしかの対決(バトル)が行われます。
この天才同士のバトルが「九鬼くんを成長させるための過程だったのではないか?」と思えるのですね~。
主人公の乱平くんは、家庭的に恵まれた環境で育った明るく正義感の強い先天的な天才。
おそらくこういった人間が将来日本のリーダーになれば、明るい未来になるだろうと思わせてくれるような人間として描かれています。
対して九鬼くんは、歪んだ家庭で作られた後天的な天才。
そのため、人間として欠落した部分が多かったように思えます。
九鬼のような人間がリーダーになったら、良い方向へ進む可能性はあるものの、某国の独裁者のようになってしまう可能性もあるでしょう。
そんな九鬼を正真正銘の「ドンちゃん」にするために、乱平を描いたのではないか…。
つまり、この漫画の本当の主人公は「九鬼正平」ではなかったのか?
と、大人になったわたしは思ってしまうのです。
冷酷非情、機械のように育てられた少年が、ライバルとの対決を経て人間らしさを取り戻していくという。
分かりやすく言うと、「ナルト」と「サスケ」みたいなもんですかね。
そんなところにも注目して本作を読んでいただければ、単なるコメディー漫画以上のおもしろさを堪能できるでしょう。
まぁ今になって読み返せば、上記のような「深いストーリー性」にも気づくのですが、当時はわたしも小学生。
漫画ならではの乱平の破天荒さと2人の対決に純粋に心躍らせて読んでいましたけども。
基本的にはコメディー&バトル漫画でありながら、実は人間の成長を描く「ヒューマンドラマ」でもある本作「ガッツ乱平」。
「隠れた名作」と呼ぶにふさわしい、昭和時代の傑作漫画です。
さて、そんな本作「ガッツ乱平」は、残念ながら電子書籍化されていません。
さらに一般の書店でも手に入りにくいコミックスとなっています。
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