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【翔んで埼玉/魔夜峰央】大ヒット映画の原作は昭和に描かれた名作漫画だった!

名作マンガ(昭和)

今回紹介する作品は「翔んで埼玉」

有名な作品なのでご存知の方も多いでしょう。

大ヒットしましたからね、映画が。

 

でも今回取り上げるのは映画ではありません。

2019年に公開された同名映画の原作漫画「翔んで埼玉」です。

 

作者は「パタリロ!」で有名な「魔夜峰央(まや みねお)」先生。

実はわたし、けっこう長いこと埼玉県に住んでおりまして、この漫画が連載されていた当時も埼玉で暮らしておりました。

ですから「翔んで埼玉」という漫画の存在も知っていたんです。(実際にこの漫画を読んだのは高校生になってからでしたが)

まぁそんなこともあって、今回の記事ではこの「翔んで埼玉」のおすすめポイントを埼玉県民目線で紹介していきますね~。

 

翔んで埼玉の作品データ

【作品概要】

出身地・居住地によって激しい差別が行われている、架空世界の日本のお話。

とにかく、とことん埼玉県をディスります。

令和の世に大ヒットした映画の原作は、昭和に描かれた名作漫画でした。

 

【作品データ】

作品名翔んで埼玉
作者魔夜峰央
連載誌花とゆめ(白泉社)
連載期間1982年(昭和57年)~1983年(昭和58年)
単行本全1巻(※)
電子書籍あり

(※)上図は、宝島社より発行された復刊版

 

翔んで埼玉のストーリー

それでは、まず簡単に本作「翔んで埼玉」のストーリーを紹介します。

なお今回の内容は、あくまでも「漫画版・翔んで埼玉」の紹介記事です。

「映画版・翔んで埼玉」の内容ではありません。(原作と映画は内容が異なる部分も多いため)

 

【翔んで埼玉の舞台設定】

本作は、出身地・居住地によって激しい差別が行われている架空の日本が舞台となっています。

その差別の内容は、兎にも角にも「東京第一主義」。

東京以外は日本ではない。

もっと極端に言うと「都民以外は人間ではない」という漫画ならではの設定となっています。

そして一番のやり玉に挙げられているのが、東京都のお隣「埼玉県」。

「東京 > 未来永劫埋められない格差 > 埼玉」という設定で、本作のストーリーは進んで行きます。

 

他の道府県も埼玉県と同じような位置づけになっているのですが、本作ではとにかく「埼玉をディスる」ことに重点が置かれています。

ちなみに、作中で東京都の次に位置付けられているのは「新潟県」です。

(©魔夜峰央/翔んで埼玉)

 

イヤイヤお嬢さん、「口が埼玉になる」って…。(面白いけど)

 

【翔んで埼玉 ストーリー①】

東京の名門校・白鵬堂学院に麻実 麗(あさみ れい・男性)という学生が転入してくるところからストーリーは始まります。

頭脳明晰で容姿端麗な麗くんに魅了される学院の生徒たち。

最初は麗くんを目の敵にしていた生徒会長・白鵬堂 百美(はくほうどう ももみ・男性)も、いつしか麗くんを慕うようになってしまいます。

しかし…。

実は麗くんの正体は、埼玉県で一・二位を争う大地主・西園寺家の御曹司だったのです。

 

麗くんの父親は、彼を将来政治家にして埼玉県(県民)に対する差別を撤廃させようと目論んでいました。

そのために、麗くんを東京に侵入させ様子を探らせていたのです。

自分の使命を自覚している麗くんは、埼玉県民を不当な差別から解放するためひとり密かに行動します。

ところが、東京のデパートで起きた事件をきっかけに埼玉県民であることがバレてしまい…。

 

【翔んで埼玉 ストーリー②】

正体がバレてしまった麗くんは、いったん所沢の自宅に逃げ帰ることに。

その頃、政界の実力者・階階堂 進(かいかいどう すすむ)は、東京で活動している埼玉解放レジスタンスグループの不穏な動きをキャッチ。

レジスタンスの動きを探らせた階階堂は、その首謀者を麗だとにらみ麗もろともレジスタンスグループを一掃しようと企むのです。

いっぽう麗くんの方はというと、麗くんを慕っている(というより麗くんに恋をしている)生徒会長・百美くんの助けを得て、再び東京へ舞い戻るのでした。

 

その後、麗と百美は階階堂の手先に追われ絶体絶命のピンチに陥ります。

「もうダメだ!」そう思ったその時、間一髪のところへ謎の集団が登場。

彼らは埼玉解放グループの伝説的リーダー・埼玉デュークの部下たちでした。

埼玉県民の憧れ・埼玉デューク。

謎の多いその人物に会うため、麗と百美は新たな旅に出るのでしたとさ。

 

と、ここまでが本作「翔んで埼玉」のストーリーになります。

 

…が。

 

え~っと…。

 

本作は「未完」です。

 

上の麗と百美が旅立ったところで終わり。

話数で言うと3話までしか描かれていないんですね。

 

作者である魔夜先生は、連載当時埼玉県の所沢市に住んでいました。

でも3話目を描き終わったあと横浜市に引っ越してしまいます。

そのような事情もあって、以後本作の続きが描かれることはなく、魔夜先生が埼玉に戻ってくることもなかったのです。

※ 詳しい事情はWikipediaに書いてあるので、そちらをご覧ください。

 

映画のほうはちゃんとストーリーとして完結しています。

しかし原作のほうはこんな感じで「未完」の作品として終わっているのですね。

本作の続きが描かれることはもう無いと思われますので、映画で上手に完結させてくれたことを一番喜んでいるのは、魔夜先生ご本人かもしれません。

 

翔んで埼玉のおすすめポイント

続いては、本作のおすすめポイントを紹介していきます。

たった3話しか描かれてなくて未完なのにおすすめポイントなんかあるの?

そう思う方もいらっしゃるかもしれませんが、あるんです。

 

映画を観た方ならお分かりでしょうけど、この作品はホント見事なまでに埼玉をディスっています。

ただ不思議なことに、埼玉県民からのクレームなどは無かったそうなんですね。

 

わたしも出身が埼玉県でそこそこ長く暮らしていたこともあり、埼玉に対するそれなりの愛着はあります。

でも別にクレームを付けるほどムカつく内容ではなかったですし、むしろ原作も映画も面白く堪能させていただいたクチ。

そしてその最たる理由は、埼玉県に対する「ディスり方」にあるのです。

 

本作をお読みいただければ判りますが、作中で描かれる埼玉県のディスりには全く「リアル感」がありません。

※ これは映画とは大きく違う点でもあります。

「いつの話?」「いつの時代の埼玉?」という感じで、当時生活していた埼玉県民でも「ハァ?」となってしまうようなディスり方がほとんど。

例えばこんな感じですね。

  1. つい10年ほど前までランプと囲炉裏で生活していた
  2. 最近やっと電気が通るようになった
  3. テレビが珍しい
  4. 県知事に年貢を納めている
  5. 山手線に乗ったり三越に行くのが夢である
  6. 秘境である
  7. 500円玉を見たことがない
  8. ワコールの下着がプレミア価格で売っている
  9. 移動手段は馬車か牛車である
  10. 警察がない
  11. 埼玉 > 茨城である

 

こんな感じで全くリアル感のないイジられ方をしているため、読んでいてもムカついたりしないんです。

いかに古いマンガでも1982年(昭和57年)ですからね、時代錯誤もいいところ。

※ でも「埼玉 > 茨城」だけはリアル感があるかも…。

だから「あ、ギャグなんだな」と思って読めてしまうので、そこは作者である魔夜先生が上手に設定したなと思いますね。

 

もしこのディスり方が、次のようにメチャメチャリアル感があるものだったら、これほどまで世間に(埼玉県に)受け入れられなかったでしょう。

  1. コレといった観光スポットがない
  2. コレといった特産品(名物)がない
  3. 海がない
  4. 中途半端な山しかない
  5. つまり、コレといった特色がない

 

こういう埼玉のリアルな負の部分をディスられちゃったら、埼玉県民には受け入れられなかったでしょうね~。

だって「埼玉県」て聞いて思い浮かぶモノあります?

 

クレヨンしんちゃん?

ライオンズ?

レッズ?

土田晃之?

観光名所とか娯楽・宿泊施設とか美味しい名物とか思い浮かびます?

 

ね、埼玉にとって一番イジられたくないのはこの「特色がない県」ていう部分なんです。

ですから逆に、「こんな特長のない県を漫画として描いてくれてありがとう」というくらいの気持ちなんじゃないですか、埼玉県にしたら。

  • 漫画と映画を通じて全国の人に「埼玉」という地域を知ってもらえる。
  • 当事者である埼玉県民も面白く読んで・観ることができる

 

こんなところに、この作品の名作たる所以があるのだろうと思います。

漫画も映画も大筋は同じなのですがところどころ異なる部分も多いので、映画を楽しんだ方はぜひ「漫画版・翔んで埼玉」も楽しんでみてください。

 

 

なお、本作「翔んで埼玉」のコミックスは2種類あります。

ひとつは、冒頭に掲載した宝島社より発行された復刊版。

こちらは電子書籍化されておらず紙版のみになります。

またもうひとつは、短編集「やおい君の日常的でない生活」という作品に収録されているもので、こちらは電子書籍化されています。

 

どちらもわたしが利用している漫画サイト「漫画全巻ドットコム」で入手可能。

興味のある方は、下の公式サイトを覗いてみてくださいね。

 

漫画全巻ドットコムの公式サイトを見に行く

 

また、漫画全巻ドットコムについてはこちらの記事でも紹介しています。

よろしければ、併せて参考にしてください。

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最後にひと言

でもですね、魔夜先生。

先生が住んでたのって所沢でしょ?

所沢って、わたしが住んでいた地域からすればもの凄く「都会」なんですよ。

 

なぜなら、すぐ下が「東京」だから。

 

わたしが住んでいた地域なんて、すぐ上が「群馬」ですよ。

 

「翔んで埼玉」の映画でひとつだけ笑えなかった箇所があって、それは麻生久美子さんが言ったこのセリフ。

 

「熊谷(くまがや・熊谷市)は群馬なんだよ!ぐ・ん・ま!」

 

これ、リアルすぎて笑えないっスよ…。

 

実は埼玉県て、北部(北西部・群馬寄り)と南部(南東部・東京と千葉寄り)との「格差」が激しいんです。

要は、群馬に近い北部の方が南部よりもはるかに「田舎」ってことで、北部民はこれでイジられるとムカついちゃう人が多いだろうと思います。

おそらく南部に住んでいた魔夜先生にはこの気持ちは分からなかったでしょうから、コレを漫画のネタにしなくて良かったなぁと思ったりしてしまうのでした。

 

最後は、分かる人にしか分からないローカルネタでスミマセン…。

 

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